運動音痴の五大要素

2024/08/15

運動音痴とは何か

運動音痴の正確な定義はないようです。

少なくともゴルフ運動音痴かどうかは、経験から、小学校高学年~高校生時代に球技をしていたか、によって異なると思います。
私は、球技どころか運動と無縁だったので、ゴルフにはとても苦労しました。

さて、私の考える運動音痴は、①力の方向がわからない、②力のいれどころがわからない、③代償動作を本動作と勘違いしている、④空間把握能力が欠如している、⑤言葉で理解しようとする、という点かと考えています。

①動かしたい方向と力の入れ方の方向の違いがわからない

運動音痴は、実現したい動きと、実際の力の入れ方がわかりません。
運動は、必ず作用と反作用があり、身体のある部分をある方向に動かそうとすると、別のある部分で、反対方法に動かす意識が必要となりますが、運動音痴にはこれがわからず、混乱します。

クラブを右回しにするには、身体は左回しの力をいれる必要があることが運動音痴にはわかりません。

②力のいれどころがわからない

左側屈は上半身を左に倒すこと、という言葉をきいて、左脇腹に力をいれてしまうのが運動音痴です。あるいは、単に上半身を左に曲げるだけの動作をしてしまうのが運動音痴です。

ゴルフスイングに必要な左側屈になるには(正しくは腰椎の左側屈になるには)、左側屈になるように、究極的には全身、局所的には左脇腹と反対側の右脇腹の、さらに周辺の筋肉、及び、骨格の位置が大事なのであって、左脇腹だけではないのです。しかし、人間の身体動作は複雑で、この左側屈ひとつとっても、真に正しい動きは解明されていないし、個々に、「この筋肉にどのくらいの力を入れて」とかの指導も不可能ですし、無意味です。

運動音痴は、右手左手のテコ、と聞いて、右手首・左手首(あるいは掌)の力をいれることで、クラブをテコのように使おうとします。実際には、肘やその他の筋肉、姿勢、重心管理まで含めて、テコのように使う必要があるにもかかわらず。

③代償動作と本動作の勘違い

人間の身体はよくできていて、ある動作をしようと思った時に、複数の力のいれ加減を選択できます。
例えば、手を上げる動作ひとつにしても、複数の方法があります。
これは、ケガをしても、他の筋肉を使って、同じ動作を実現させることで、生活(サバイブ)ができるようにということだと思いますが、神様はよく考えたものだと思います。

代償動作
理学療法における代償運動の捉え方─抑制と活用の観点からより
代償運動とは,機能障害が存在するため本来の動作や運動ができず,代わりの機能や方法を用いてその動作や運動を遂行しようとすることです.
医療法人 矢尾板記念会ホームページより
代償動作とは、ある動作が困難なとき、別の動作あるいは他の筋肉で補う動作のことをいいます。運動の場面では、トレーニングをしようとしている筋肉ではなく違う筋肉を使ってトレーニングをしてしまっているということになります。
具体的には、手を前から上げる際に腰が反ってしまうことや、右手を横から上げる際に上げている手とは反対方向の左側に体を倒してしまうことが挙げられます。これは、肩関節の動きの固さを体の動きで代償していることになります。
この代償動作ばかりを使っていると不具合が起きます。

見たで同じように動かしていても、本来の役割と異なる筋肉を使って動かしているとその筋肉が過負荷となり、故障の原因となります。
本人は代償動作で身体を動かしているとは気がついていないので、ビデオで動きを確認しても原因がわかりません。
動きに違いがでてくるとしても、意識している部分ではなく、別のところの異常な動きを検出するので、それを矯正しようとします。しかし、本来は、修正したい(習得したい)動きの代償動作を矯正しないといけないのに、それをそのままにして、別に現れた異常動作を修正しようとすれば、それがつぎはぎパッチであり、うまくいかないのは自明であるとわかります。
すなわち、間違った動きに間違った動きをプラスマイナスで足せば、一見正常なスイング動作にみえますが、再現性、飛距離、コントロール性に劣り、ケガの可能性を高めます。

楽しくゴルフをするためには、身体の動きが健康的である必要があり、仮に過去のケガ等で、一般と異なる身体の動かし方をしている人は、それを十分に理解して、ゴルフスイングを習得する必要があるのです。

④空間把握能力を習得していない

ゴルフはボールが止まっているから空間把握能力の必要性は低いのではないか。と思うかも知れません。

きちんとスタンスを構え、道具を使うのに、空間把握能力が必要なのです。

目標に向かってきちんと構え、クラブがどう動いているを直感的に把握することが必要です。

⑤身体に覚え込ませる前に、言葉で理解しようとする

(②とかぶる部分はあります。)

歩く動作、筋肉の動かし方を言葉で説明してください。自転車の乗り方、動作、筋肉の動かし方を言葉で説明してください。
ボールの投げ方、受け方の動作、筋肉の動かし方を言葉で説明してください。

と言われても説明できないですよね。同じように

ゴルフスイングの動作、筋肉の動かし方を言葉で説明してください。

と言われてもできないのです。

言葉ではできないことを前提に、ゴルフスイングを習得する必要があるのです。

本サイトでも言葉でもってゴルフスイングを説明しようとするのは無謀なのです。しかし、何かのヒントになればと思って開設しています。

運動音痴のまま成人すると、言葉でしか運動を理解できなくなります。その点で、言葉で理解しようとすること自体はどうしようもないのです。大事なことは、本質的には言葉では理解できないものを習得しようとしているのだ、ということを理解することなのです。